支援者へのインタビュー⑤ ともさん

ともさん  40代  男性

窃盗で逮捕、我慢ができない、自閉症、大人のいじめ、相談できず失敗

つらいことも含めて生い立ちから支援している現在までを話してもらいました。

自閉症、相談できず失敗…

 

高橋:こんにちは、今日はよろしくお願いします。今日インタビューを取らせていただくにあたって、お名前をなんとお呼びしましょうか?

ともさん:ともで。お願いします。よろしくお願いします。

 

高橋:では最初にともさんの生い立ちについて教えていただきたいのですが。出身地やこれまでしてた仕事を教えていただけますか?

ともさん:主に土木作業とか建築関係でお仕事してました。

 

高橋:ご出身は?

ともさん:秋田県です。

 

高橋:それから、土木関係の仕事で日本中いろいろなところに(行かれてたんですか)?

ともさん:はい。いろいろです。はい。

 

高橋:なるほど。服役をしていたというお話しもあったんですけれども、最初に警察に捕まってしまうことになったきっかけというか、どんなことをしてしまったのか・・・。

ともさん:親とうまくいかなくってところから。未成年の頃からですね。1回逮捕されて。

 

高橋:はい、それは何で?

ともさん:窃盗。全部窃盗なんですけど。

 

高橋:なるほど。やっぱり最初は親子関係の?

ともさん:その前も、教護院、今は児童支援福祉施設っていうところに。1回目は家出とか、その延長上で今まできているような感じなんで。簡潔に言うと。

 

高橋:そうですか。それで、今まで何度か服役をされたっていうことですけど。やはり1回社会に出ても、なかなかその中でなじめないってことでしょうか?

ともさん:はい。やっぱり人間関係です・・・ね。

 

高橋:人間関係。職場でうまくいかなかったりとかですか?

ともさん: 普通の人は我慢できることでも、我慢できないことが・・・、我慢っていうか、本来なら我慢しなきゃいけないところなんでしょうけど、やはりそこがまだ自分は弱いところというか・・・。うまくできないところがやはりあって。

 

高橋: なるほど、窃盗を繰り返してしまったのは生活のためっていうところですか?

ともさん: 生活のため、そうですね。

 

高橋: あとは、精神的なストレスみたいなのもあってってことですかね?

ともさん: あ、はい。

 

高橋: なるほど。ちなみに、服役を終えて社会に出て仕事は就いていたってことですよね?

ともさん: はい、やってました。

 

高橋: ただ、それが長続きしなかったってことですね?

ともさん: はい。

 

高橋: なるほど、実際に服役を終えてから、出所している期間、その間って、何が一番辛かったですか?どういったことが辛かったですか?

ともさん: やっぱりどうしても、社会に馴染めないってところが・・・(辛かったですね)。どうしても、自分の思っている事と会社とか従業員(雇用者?)が思っている事とのギャップがあって・・・。はい。

 

高橋: なるほど、そういったことでうまくいかなくって離職になったのですね。

ともさん: 詳しく言えば長くなってしまうんで、あれ(端的に言ったん)ですけど。

 

高橋:なるほど、はい。 では、今回、こうして今、支援を受けている訳ですけれど、支援に繋がったきっかけっていうのは?お話しいただけますでしょうか。

ともさん:はい。今回、いろいろ更生保護施設に何ヵ所も転々として、網走・・・最後北見に行ったんですけれども、更生施設を出る時に、(入所していた期間が短かく、少ないお金しかなかったので)もし生活するのに困ったら相談しに来て良いと言われ、相談に行った。そうしたら、急な話しにも関わらず電話で馬場さんを紹介していただき、今に至るということです。

 

 

高橋: なるほど。最初支援を受けるって聞いた時には気持ち的にはどういった気持ちでした?若干不安みたいなのはありましたか・・・。

ともさん:(不安)よりも、まぁ、ホッとしたっていうか、心配だったので、正直お金もなかったし、いろいろありまして、お金もなかった状態でしたので。(この先)どうすればいいんだろう、という不安の方が大きかったので。

住む所と、食べる事ができるっていう話しも聞いて、それはもう保証するからっていう話しだったので、安心した方が大きかったです。不安もないって言えばウソになりますが、そっち(安心)の方が大きかったです。

 

高橋:なるほど、はい、やはり将来このままだと、どういう生活になるか、わからない・・・(って感じですかね)。

ともさん: はい。また、同じような・・・。(将来の不安)の方が大だったと思う。今考えてみると。

 

高橋:それでは、手稲署の話しがあったと思うんですが、そのあたりについて、もう少し詳しく教えていただいてもいいですか?

ともさん: やはり、まぁ。馬場さんの方から自分の経歴とか提示した上で、就職したんですが、やはり自分の持ってるのと会社が求めてることのギャップが一番大きかったんです。

 

高橋: それで、手稲署に保護されるに至るまでに、どういったことがあったんですか?

ともさん:生活保護を受けながらの就職だったので、お金が無いというのは周りの人が知ってくれれてた上で就職したはずなのに、タバコを握りつぶされたりとかの嫌がらせがあった。風邪で休んだ時もいろいろ言われたりとか、イジメのような事をされて・・・(我慢できなくなって、飛び出した)。多分もし仕事を続けていたら、コロナの事でもありもしない事を言われてたんじゃないかと思う。

 

高橋:それで、また再犯というか、保護されるに至る事件になってしまうんですね。

ともさん: はい、会社の車で網走とか、あっちの方まで行って。最終的に帯広の手前の池田署ってところで保護されて、手稲署の署員が来てって形で手稲署に。まぁ逮捕されたという。

 

高橋:実際、現在は起訴猶予中。っていうことですね。

ともさん: そうですね。馬場さんの周りの人が全員、検事さんとか上の人に掛け合ってくれて、動いてくれたおかげで、本来なら服役確実だったのが・・・。なので、今の生活を大切にしていきたいっていうのが、今でもそれは思っていることなので。

 

高橋:はい、あー、ありがとうございます。

ともさん:やっぱり、今思えばその時に相談していれば、こういうことにも当然ならなかっただろうし。(相談さえしていれば)“だったら仕事やめれば”で、終わってた話しだったかもしれないのに・・・。

 

高橋: そうですよね。じゃぁ支援を受ける前と今とでは気持ち的にもだいぶ変わりました?

ともさん:あ、全然違います!! 天と地の差があります。正直。はい。

 

高橋: では、支援を受けてみて実際に良かったこと、生活的に寝る場所もあって、ご飯も食べられてとか。

ともさん: あ、はい。相談できますし、グループホームで言うと、大家さんとか見回りに来てくれる人が親身になってくれるし。今、治療を受けてるんですが、(病院の)先生も何かあったら、いつでも、通院日以外でも相談にのってあげるから、何かあったら、一言電話だけくれれば良いから、とまで言ってくれているので、支援してくれる人が一人じゃない、ってことが(嬉しいです)。

 

高橋: 周りに味方がたくさんいるってことですね。

ともさん: それだけでもやっぱり(感じる)。今、率直に思う事は、社会に「居る」っていうか、(社会を)広げられてるなぁ(と感じる)。人との繋がりで社会は成り立っているなぁ、と思う。自分、まだ仕事はしていないんのですが・・・(それでも感じる)。

 

高橋: 社会との繋がりを感じるってことですねぇ。なるほど。それでは今、通院をしてるってお話しありましたけれど、それはどういった内容で?

ともさん:あ~、不眠症で。

 

高橋:なかなかやっぱり眠れない?

ともさん:はい、そうですね。一昨日も飲んだんですが、あー睡眠薬もらって飲んでるんですが、なかなか眠れない状態が続いて。

 

高橋:なるほど、それ以外に障害っていうのはあったりするんですか?

ともさん:一応、自閉症の気というか。

 

高橋: スペクトラム・・・みたいな。

ともさん: そうですね。その治療をした上で、今後の方向性っていうか、どうやったら、自分が対処できるかっていうのを治療をうけながら、診ていくっていう感じで。

 

高橋:今、そちらの自閉症、スペクトラムの方も同様に同じクリニックで通院して診ていただいてるっていうことですね。

ともさん: はい。

 

高橋: これまで福祉のところには結びついてなかったってことですね。

ともさん: 今回初めて、通院、そういう支援を受けているって形ですね。

 

高橋: 今、社会との繋がりができて、これからまた、就労とか働いていくことに対しての意欲ってどう考えていますか?

ともさん: 正直、変な話し、今でもすぐにでも就業したいっていう意欲はあるんですが、やっぱり、治療して自分の事を知ってからの方がうまくいくと思うので。今回こういう機会を与えてもらってるので、自分の事を知ってから(仕事に)行くのと行かないのとでは多分、その後の仕事の仕方が違ってくると思うので。会社の方にも理解していただけると思うので。

 

高橋:そうですよね。最後に、支援を受けてみて良かった部分と、今実際に昔のともさんと同じように支援を必要としている人がいると思うんですが、そういう人達に向けて、声をかけるとしたら、どんな事を言いたいと思いますか?

ともさん: 自分も失敗してきたのは、人に相談できないところがあったからというのが一番大きいと思うので(相談してください)。今、服役して出てこられて苦しい人もいると思うのですが、やっぱり積極的にそういうところに(相談してください)。就職決まって生活できる人なら(大丈夫だと思うん)ですけど。

限られた期間しか居られない更生保護施設は、(時期が来たら)はい出て行って下さいというのが実情なので、自分も入ってたからわかるんですが、そういうところ(から出た人)なら(なおさら)率先して積極的に活用して(相談して)もらいたいなと思う。北海道だけじゃなく、他のところでも支援するところがたくさんあると思うのでね。

 

高橋: 一人で悩まないで、いろんなところに支援を求めることが大事だってことですね。

ともさん:はい。

 

高橋:それでは、これまでに服役を何度かされたってことですが、どこに何回入ったかを教えていただいて良いですか?

ともさん: 最初に入ったのが、20歳からなんですが、佐賀少年刑務所、佐世保刑務所、松本少年刑務所、盛岡少年刑務所、宮城刑務所、長崎刑務所、高松刑務所に行って、で前回、前橋刑務所で計8回です。

 

高橋:今後に向けてですが、これから先の事について、また服役するようなことは今のところもう考えてないですか?

ともさん: はい、全くないです。ただ、今後の生活の自分次第だと思います。今この場でないとは言えないが、その努力は常々、一生かけてしていかないといけないのは、重々承知しているので、まず努力したいです。で、もし、何かあったら、相談することが自分には必要な事だと思うので、何かあったらすぐ積極的に相談していこうと思います。

それが出来ればこの生活を維持できますし、今後、就業支援を経て、就職してからもそういう相談をしていきながら、今後仕事していければと思います。仕事していけば、今まで以上に悩みとかストレスが少なからずあると思うので、今、もう、いろんな方が支援してくれるので、相談して解決して、生活して楽しみを見つけたい。

ただ仕事してるだけじゃぁ面白味ってのが無くなってくるので、目標を持って生活していきたいなと(思っています)。

 

高橋:はい、ありがとうございます。今日お話し伺って、「相談」とか「努力」とか前向きなお話しをお聞きできたので、また、何か困ったことがあったら相談してください。一緒に頑張っていきましょう。

ともさん: はい、ありがとうございます。

 

高橋: 何かあったら、すぐ相談しに来てください。お邪魔しました。

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