支援者へのインタビュー② ひろさん

ひろさん  30代  女性

生まれてすぐ施設、覚醒剤やシンナー、摂食障害、捕まっても関係ない、娘と一緒に住む

つらいことも含めて生い立ちから支援している現在までを話してもらいました。

娘と一緒に住むのが目標…

 

高橋:今日はヒロさんにインタビューさせていただきます。よろしくお願いします。

ヒロさん:よろしくお願いします。

 

高橋:ではまず、生い立ちについて、ヒロさんの今までについて、ちょっとお話しいただきたいのですが、出身地やどんな仕事をしてきたとかを簡単にお話しいただいて良いですか。

ヒロさん:はい。私、生まれてすぐ施設にいれられて、15歳まで施設で育ったんですけど、やっぱり施設に居るのが嫌で、高校に行かなかったんです。それで、就職して、それも3年しか続かなかったですよね。それから、なんか、悪い友達と付き合うようになっちゃって・・・、そこで覚醒剤やシンナーを覚えて・・・、今日に至るんですよねー。

 

高橋:ん?18歳ぐらいの時に・・・ってことですか?

ヒロさん:そうですね。はい。

 

高橋:そのあと、今に至るまでに服役をしたっていう話しがありましたけど、それも覚醒剤の関係?

ヒロさん:はい。そう覚醒剤です。

 

高橋:その時、最初に捕まった時、まぁ警察にばれてしまったというか、捕まってしまったわけですけども・・・。

ヒロさん:はい。

 

高橋:その時って、気持ち的にはどうでしたか?

ヒロさん:一番最初は執行猶予で出て来れるから、軽い気持ちっていうか、捕まっても恐いものなかったっていうか。

 

高橋:はい。

ヒロさん:で、(刑務所から)出て来ても、全然こりないっていうか、またやっちゃって。またすぐ捕まったんですよね。

 

高橋:あ、そんなに間があかない感じっ?

ヒロさん:はい、え、なんか、若かったから恐いものが全然なくて、刑務所行ってもどうでもイイや、みたいな。

 

高橋:ふんふん。

ヒロさん:今までずっと小さい時から一人で・・・(なんて言うんだろう・・・)生きてきたっていうか・・・。母親の愛情も受けないで、生活してきたから、どうでもイイやみたいな感じで思ってたんですよね。だから、覚醒剤やって捕まっても別に・・・(なんだろ)刑務所行くことも苦でもなかったんですよねぇ。

 

高橋:なるほど、それで何回か繰返していった、っていうかたちですかね。

ヒロさん:うん、そうですねぇ。

 

高橋:えーと、出所してからまた再犯で捕まるまでの間っていうのは、お仕事とかは?

ヒロさん:してないです。

 

高橋:そう、されてなかったんですか。でも、やっぱりクスリは止められない?

ヒロさん:うん、そうですねぇ、覚醒剤入っちゃったら、仕事どころじゃなくて、毎日、覚醒剤作る為にお金を作らなくちゃいけなくて、また更に悪い事して・・・

 

高橋:無くなることがコワかった?クスリ自体が。

ヒロさん:そうですねぇ。

 

高橋:そうかそうか、その間っていうのは、例えば、病院を受診するとか・・・そういうことは考えてなかった?

ヒロさん:はい、一切治そうと思わなかったし、別に捕まろうが関係ないと思ってたから、病気を治そうとも思わなかったんですよね。だけど今回3回目、刑務所に入った時に、施設内でストレスのせいで、摂食障害になって体重も35kgくらいまで落ちちゃって、その時にすごい苦しい思いをしたんですよね。それで、もう刑務所なんて行きたくないって思って、もう2度とやりたくないって、そこで初めて思ったんですよね。

 

高橋:じゃぁ今はクスリとは関わりを持ちたくないって思っているという事ですね。

ヒロさん:えぇ、関わってないです。全然。

 

高橋:そっか、じゃぁ、それまで、何度か服役をしたなかで、周りにいた人達とか、そういうクスリと関わってる人たちとは、今は完全に縁を切っているってことですもんねぇ。

ヒロさん:はい、今は、ないです。全然。

 

高橋:なるほどなるほど

ヒロさん:そうですね。はい。

 

高橋:じゃぁ。今こうやって、支援と結びついたわけですけども、そのきっかけというか、最初は?どういったところからここと繋がったんですか?

ヒロさん:あ、刑務所の中で、紹介してもらったんですよね、受給者同士で。こういう施設があるよとか言って。私も誰も頼る人がいないので、ちょっと助けてもらいたいなぁと思って、手紙を書いて面会に来てもらったのがきっかけです。はい。

 

高橋:それまで周りに相談できる人がいなかった?

ヒロさん:いやぁ、いなかったんですよねぇ。はい。

 

高橋:その状況ってやっぱり、今考えたら、苦しかったですか?

ヒロさん:そうですねぇ。

 

高橋:そっかぁ、じゃぁ、今支援を受けてみて、こうして生活して、まぁ以前と違ってすごく健康的な生活をしていると思うんですけど、そのことについて、今どういう風に感じてますか?

ヒロさん:えぇ。あーやっぱり、相談できる相手がいるのと、いないのじゃぁ全然違いますよねぇ。やっぱり、ちょっとのことでも、なんだろ、相談して話しを聞いてもらうことだけでも違う。気持ち的には全然違うなぁ、って。そう、やっぱり覚醒剤だから、たまにヤリタイなぁって思う時もあるんですよ。でもそういう時は、歯止めを効かせるために社長に電話して、話を聞いてもらうことで、その気持ちがなくなる。すごいなんか、いい人に出会えたなぁと思っています。

 

高橋:今はこの生活を守るために、もう服役しないように・・・生活してるってことですねぇ

ヒロさん:はい、(服役)したくない。そうですねぇ、はい。

 

高橋:じゃぁ、今、まだ新しい生活が始まったばかりで、そんなに将来のことは見えてないかもしれないと思うんですけど、何かこういう事を、今後やってみたいとかチャレンジしてみたいこととかありますか?

ヒロさん:チャレンジしたいって言うかぁ・・・。私、娘がいるんですけど、まだ(自分に)摂食障害の病気が残っているので、ちゃんと完全に(病気を)治して、仕事もして、ちゃんと(生活の)地盤をかためて、娘と一緒に住むってことが今の目標ですねぇ。

 

高橋:なるほど、なるほで、じゃぁ、娘さんのためにも、これから新しい道を進んでいくことになると思うんですけど、

ヒロさん:はい。

 

高橋:じゃぁ、過去の自分を振り返ってみて、一番つらかった時と(同じ)気持ちを持っている人って、多分この社会に他にもたくさんいると思うんです。そういう人達に向けてお話ししたいことってどういうことだと思いますか?

ヒロさん:そうですねぇ、いやぁ、あのー・・・(悩)・・・

 

高橋:いやぁー、全然(簡単でいいので)

ヒロさん:なんだろぉ・・・?う~ん。

 

高橋:例えば、今、自分の知ってる人とかが目の前で覚醒剤をやろうとしている。その人も自分と同じような境遇にあったとして、まさに、過去の自分を見ているような感じなわけじゃないですかぁ。その人に会った時に、「もうやめなッ」って言って、またこういった形の支援に結びつけて、こういうところあるよって、今度は紹介する側に回っていけると思いますか?

ヒロさん:あー、そうですねぇ。はい。

 

高橋:じゃぁ、今、幸せと感じていますか?それともまだ・・・?

ヒロさん:いやぁ・・・、まだ幸せではないですねぇ。

 

高橋:じゃぁ、これから胸張って幸せですって言えるように、私達も支援を続けていきますので、ぜひ一緒に頑張れたらと思います。

ヒロさん:はい。

 

高橋:今日はなかなか話しづらい事を話していただき、ありがとうございました。

ヒロさん:いぇ。こちらこそ、ありがとうございました。

 

高橋:今後ともよろしくお願いします。

ヒロさん:はい、よろしくお願いします。

 

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